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東日本大震災・被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の意識調査 ※連合調べ

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■震災前と同じ勤務先に勤めていない 15.3% 震災前が「パート・アルバイト」では25.1%

■勤務先が震災前から変わった有職者
現在の勤務先は「つなぎ」的なもの 6割弱

■職を失った理由 「震災の影響による解雇」 4割
■再就職をしたいと思っている 8割強 希望は「地元」で8割半ば

■「日本全体」が震災前の状態に戻るのに必要な時間は?
■『10年以上』必要 35.1% 「何年かかっても戻らない」14.3%

■震災後、勇気づけられた事 1位「自衛隊の活動」 2位「海外の国の援助」

■「家族・親族とのつながり・絆」が強くなった 43.3%
■「国・政府への信頼」が弱くなった 68.9%

■今後、ボランティア活動に期待すること
「がれきの撤去・清掃」、「心のケア」、「医療施設」、「高齢者サポート」
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 2011年3月11日に起きた東日本大震災より、半年が過ぎました。今、被災地ではどのような問題に直面し、どのような支援が求められているのでしょうか。連合(日本労働組合総連合会)(http://www.jtuc-rengo.or.jp)(所在地:東京都千代田区、会長:古賀 伸明)では、復興において大きく関わってくる「雇用問題」を中心に、被災3県(岩手県、宮城県、福島県)における意識調査を実施しました。
 本調査は、インターネットリサーチにより、2011年10月12日~10月17日の6日間において実施し、3000名[調査対象者:東日本大震災前に、有職者(パート・アルバイト含む)で岩手県・宮城県・福島県に居住していた20歳~69歳の男女]の有効サンプルを集計しました。

調査結果

◆現在の勤務先は「震災前と同じ勤務先」 84.8%
◆震災前と同じ勤務先に勤めていない 15.3% 震災前が「パート・アルバイト」では25.1%
 東日本大震災前に、有職者(パート・アルバイト含む)で岩手県・宮城県・福島県に居住していた20歳~69歳の男女(男性1,680名、女性1,320名 / 岩手県630名、宮城県1,467名、福島県903名、計3,000名)に、現在の勤務先・職業について聞いたところ、「震災前と同じ勤務先」84.8%、「震災前と違う勤務先」10.0%、「専業主婦・主夫」1.4%、「学生」0.1%、「無職」3.8%となり、「震災前と違う勤務先」、「専業主婦・主夫」、「学生」、「無職」を合わせた震災前と同じ勤務先に勤めていない割合は15.3%となりました。震災前の職業別に、同じ勤務先に勤めていない割合をみると、「会社員(派遣社員)」(33.3%)、「パート・アルバイト」(25.1%)、「会社員(契約社員)」(21.7%)となり、「会社員(正社員)」(9.8%)と比べて高い傾向がみられました。

◆震災前と比較して、「残業や休日出勤」が増えた 25.7% 「給与」は減った 22.5%
「残業時間や休日出勤」が増えたのは、「建設・土木業」、「官公庁・自治体・公共団体」
「給与」が減ったのは、「飲食店・宿泊業」、「サービス業」
◆勤務先への信頼や感謝の気持ちが「強まった」2割半
一方で、経営や事業の存続について不安が「強まった」も3割
 震災前と同じ勤務先で働いている2,543名に、震災前と比較して、現在の勤務先や勤務先での仕事状況の変化があったかを聞き、『増えた/強まった』(「震災前よりも、非常に増えた/強まった」と「震災前よりも、やや増えた/強まった」の合計)と『減った/弱まった』(「震災前よりも、非常に減った/弱まった」と「震災前よりも、やや減った/弱まった」の合計)の値をみました。

 まず、仕事量に関する項目では、【勤務先全体における仕事の量】で『減った』23.0%、『増えた』33.6%、【あなた自身の仕事の量】で『減った』15.9%、『増えた』38.7%となり、4割弱が震災後、自分自身の仕事量が増えたと回答しました。

 待遇に関する項目では、【残業時間や休日出勤】で『減った』13.9%、『増えた』25.7%となり、勤務時間に関しては4人に1人が増えたと回答しました。また、【給与】で『減った』22.5%、『増えた』8.8%となり、震災前と同じ勤務先で働いていて給与が減った人は2割強となりました。
 業種別で特徴がみられたのは、【残業時間や休日出勤】では『増えた』が、「建設・土木業」(41.3%)、「官公庁・自治体・公共団体」(48.3%)で高く、一方、『減った』のは「製造業・メーカー」(25.6%)、「飲食店・宿泊業」(19.0%)となりました。【給与】では『減った』が「飲食店・宿泊業」(29.0%)、「サービス業」(27.7%)となっています。

 また、震災関連の項目では、【節電意識】が『強まった』は78.3%、【防災意識】が『強まった』は77.0%となり、節電・防災の意識とも強まったとの回答が高くなりました。また、【準備された防災関連グッズ】では49.8%が『増えた』と回答し、震災後に“備え”を増やしたとの回答も半数近くみえました。【取得されるボランティア休暇】では『増えた』が4.8%となっています。

 【勤務先に対する信頼や感謝の気持ち】では24.7%が『強まった』とする一方で、【勤務先の経営や事業の存続について不安】では『強まった』が30.3%と回答しており、震災を契機に、生活において勤務先がもつ意義の大きさと、その存続が不安視されている深刻な状況が窺える結果となりました。

◆勤務先が震災前から変わった有職者 現在の勤務先は「つなぎ」的なもの 6割弱
 現在、震災前と違う勤務先に勤めている300名に、現在の勤務先は将来に向けての「つなぎ」的なものか、それとも生涯働くつもりの勤務先かを聞いたところ、「『つなぎ』的な勤務先である」29.3%、「どちらかというと『つなぎ』的な勤務先である」30.0%となり、二つを合わせた59.3%が現在の勤務先は『つなぎ』的なものと捉えていることがわかりました。男女別にみると、女性で『つなぎ』と考えている割合が高く64.9%となっていますが、男性においても53.9%と、半数を超えています。

◆職を失った理由 「震災の影響による解雇」 4割
◆再就職をしたいと思っている 8割強  希望は「地元」で8割半ば
 現在、職に就いていない157名に、直近で就いていた職を失った理由について聞いたところ、「震災の影響による勤務先の業績不振や営業停止などによる解雇」が最も多く32.5%、次いで「震災の影響ではない辞職(自己都合退職や合意退職)」27.4%、「震災の影響による辞職(自己都合退職や合意退職)」18.5%となりました。
 震災の影響による勤務先の「業績不振や営業停止などによる解雇」(32.5%)と「倒産による解雇」(7.6%)を合わせた『震災の影響による解雇』は40.1%、また、「震災の影響による解雇」と「震災の影響による辞職(自己都合退職や合意退職)」(18.5%)を合わせた『震災の影響による解雇や辞職』は58.6%となっており、職を失った理由として6割弱が震災の影響となっており、大きな影響を受けている実態が見えました。

 同回答者に対し、失業手当(雇用保険の基本手当)を受給しているかを聞いたところ、24.2%が「現在、失業手当を給付されている」と回答し、約4人に1人が失業手当を受けていることがわかりました。しかし、「失業手当を給付されていたが、期間が終わった」という人も16.6%、また、「申請していないので失業手当は給付されていない」人も48.4%と、半数近くに上っています。

 同回答者に対し、就職活動を行っているかとの質問をしたところ、55.4%が「現在、再就職したいと思っていて、就職活動を行っている」と回答しました。「現在、再就職したいと思っているが、就職活動は行っていない」は26.8%となり、二つを合わせた「再就職したいと思っている」割合は82.2%となりました。

 再就職をしたいと思っている129名に対し、地元(震災前に居住していた地域から通勤できるエリア)での再就職を希望しているかを聞いたところ、「希望する」は86.8%、「希望しない」13.2%となり、地元での再就職を望む声が多く挙げられました。

◆「日本全体」が震災前の状態に戻るのに必要な時間は?
『10年以上』必要 35.1% 「何年かかっても戻らない」14.3%
 全回答者(3,000名)に、震災前に住んでいた住居に関して、震災の影響として近いものを聞いたところ、「全壊または大規模半壊」5.5%、「半壊(基礎損傷・家屋傾斜・外壁内壁の脱落)」7.7%、「一部損壊(外壁・内壁のひび割れ)」49.4%、「殆ど影響は無い」37.5%となりました。

 次に、自分自身・家族の生活や、震災前に居住していた県・市町村・日本全体が既に震災前の状態に戻っているか、もしくは震災前の状態に戻るのに必要だと予想する時間を聞きました。

「既に震災前の状態に戻っている」との回答のあった割合をみると、【自分自身の生活】と【家族全員の生活】の状態については、それぞれ58.3%、60.6%となりました。これを震災前の居住地別にみると、岩手県(自分自身:72.5%、家族74.1%)、宮城県(自分自身:57.5%、家族60.4%)、福島県(自分自身49.6%、家族51.6%)となりました。

 【震災前に居住していた市町村】について「既に震災前の状態に戻っている」とするのは31.0%となりました。これを震災前の居住地別にみると、岩手県60.3%、宮城県23.9%、福島県22.1%となりました。

 【震災前に居住していた県】について「既に震災前の状態に戻っている」とするのは9.8%に過ぎませんでした。これを震災前の居住地別にみると、岩手県14.0%、宮城県8.3%、福島県9.3%となりました。

「何年かかっても震災前の状態には戻らない」と回答のあった割合を、【震災前に居住していた県】についてみると、15.0%となりました。これを震災前の居住地別にみると、岩手県9.7%、宮城県7.8%に対し、福島県では、30.3%が「何年かかっても被災前の状態には戻らない」と回答しました。

 また、【日本全体】が震災前の状態に戻るのに必要だと予想する時間は、「7年~10年程度」とするのが15.6%と多く、次いで「10年~15年程度」10.6%、「20年~30年程度」8.1%となり、「10年~15年程度」から「50年以上」を合わせた『10年以上』の割合は35.1%となりました。「何年かかっても震災前の状態には戻らない」との回答は14.3%、「分からない」も15.3%となっており、震災による影響の深刻さが窺える結果となりました。

◆「家族・親族とのつながり・絆」が強くなった 43.3%
◆「国・政府への信頼」が弱くなった 68.9%
 全回答者(3,000名)に、震災後の他者とのつながり・絆・信頼に関する変化を聞き、『強くなった(計)』(「震災前よりも、非常に強くなった」と「震災前よりも、やや強くなった」の合計)と『弱くなった』(「震災前よりも、非常に弱くなった」と「震災前よりも、やや弱くなった」の合計)の値をみました。
 人とのつながり・絆においては、『強くなった』が多い順に、【家族・親族とのつながり・絆】(43.3%)、【友人とのつながり・絆】(34.7%)、【恋人・配偶者とのつながり・絆】(34.3%)となりました。
 【地元自治体への信頼】と【国・政府への信頼】では、それぞれ『強くなった』よりも『弱くなった』との回答が高く、【地元自治体への信頼】では弱くなったが32.2%、【国・政府への信頼】では68.9%と、国・政府においては7割弱が弱まったと回答しています。

◆不安に感じているもの 「原発関連」と「地震」でともに7割強
◆福島県民が不安なもの 「原発関連」9割
「健康維持」、「子供の将来」、「人口減少」では他県よりも不安に感じている
◆今後、被災地復興のために必要なこと 「雇用の創出・確保」 約7割
◆求められている雇用対策 「長期間安定的に働ける雇用」63.7%
 全回答者(3,000名)に、現在の生活の中で不安に感じている事を複数回答形式で聞いたところ、「原発関連」74.6%が最も多く、「地震(余震)」72.1%、「収入の確保」52.9%が続きました。
 現在福島県に住んでいる人では、「原発関連」が90.1%で9割と高く、「健康の維持」(51.5%)、「子供の将来」(41.8%)、「人口の減少(地域の過疎化)」(32.5%)では、他県よりも10ポイント以上高くなっています。

 今後、被災地の復興のために、どのような支援や施策が必要だと思うかを複数回答形式で聞いたところ、「福島原発事故の収束」77.6%が最も多く、「放射性物質の除染」70.0%、「雇用の創出・確保」69.6%、「福島原発事故の被害補償」59.5%が続きました。

 被災地復興のために、約7割が「雇用の創出・確保」が必要だと回答しましたが、それでは、住んでいる県の「雇用」についてどの様な対策を望んでいるのでしょうか。複数回答形式で聞いたところ、多かったのは「一般成人の雇用の確保」(65.6%)、「長期間安定的に働ける雇用(正規雇用)の確保」(63.7%)でそれぞれ6割を超えました。次いで「地域の新卒者の雇用の確保」43.8%、「新しい業界に就職するための就職支援・職業訓練の充実」38.9%となっています。

◆震災後、勇気づけられた事 1位「自衛隊の活動」 2位「海外の国の援助」
 全回答者(3,000名)に、震災後、どのような事に勇気づけられたかを複数回答形式で聞きました。
 最も多かったのは、「自衛隊の活動」で72.4%、次いで「海外の国の援助」54.0%、「消防庁・消防団の活動」50.4%、「個人によるボランティア活動」40.5%となり、「各企業・団体や組織によるボランティア活動」は31.2%となりました。
 男女別でみると、「国内の有名人やアーティスト・スポーツ選手の援助・ボランティア活動」(男性34.1%、女性48.3%)、「家族や親族のサポート」(男性27.0%、女性44.9%)、「海外の有名人やアーティスト・スポーツ選手の援助・ボランティア活動」(男性27.8%、女性39.2%)、「友人のサポート」(男性21.0%、女性40.7%)と、それぞれ男性よりも女性で10ポイント以上高くなっており、女性では身近な人からのサポートや、有名人などの援助やボランティア活動で勇気づけられたことがわかりました。

◆震災後、ボランティア活動による支援を受けた 13.4%
◆今後、ボランティア活動に期待すること
「がれきの撤去・清掃」、「心のケア」、「医療施設」、「高齢者サポート」
 全回答者(3,000名)に、震災後、ボランティア活動による支援を受けたことはあるか、また、参加したことはあるかを聞いたところ、「ボランティア活動による支援を受けた」13.4%、「ボランティア活動に参加した」14.9%となりました。

 次に、これからの被災地の復興や被災者支援のためのボランティア活動に対して、期待することを複数回答形式で聞いたところ、「がれきの撤去や清掃」(57.4%)、「被災者の心のケア」(55.2%)、「医療施設のサポート」(52.2%)、「高齢者のサポート」(51.4%)がそれぞれ5割台で続きました。これからの活動としては、がれきの撤去や清掃のほか、心のケアや医療施設・高齢者のサポートなど、医療や福祉関連のサポートも求められているようです。

 日本労働組合総連合会(連合)では震災後、組織全体で30億円に達する支援カンパを集め、3月31日からは岩手・宮城・福島の3県に向けて毎週300人規模のボランティアを派遣し、その延べ人数は8月末の段階で約33,000人となっています。活動内容としては、がれきの撤去・回収や家屋や側溝からのドロ出し、また支援物資の仕分け・配布などの活動を行ってきました。
こうした連合の活動を知っていたかを聞いたところ、「知っていた」18.0%、「知らなかった」82.0%となり、2割弱の人に認知されている結果となりました。

◆まとめ
 今回の調査では、東日本大震災から半年以上経った今でも、被災地の方々の生活環境や雇用を取り巻く状況の深刻さが窺える結果となりました。

 震災前と同じ勤務先で働いている人では、震災前と比べて、約4人に1人が残業時間や休日出勤が増え、また約5人に1人が給料が減るなど、労働条件が悪化していることが分かりました。震災前と異なる勤務先に勤めている人では、6割弱が現在の勤務先を「つなぎ」的なものと捉えて働いており、震災前は働いていたが現在職に就いていない人では、4割が「震災の影響」で解雇され、また、8割強が再就職を希望しています。3月11日の震災は、労働条件や雇用そのものに大きな影響を与えていることが分かりました。

 現在の生活の中で不安に感じているものでは、原発関連や地震がそれぞれ7割強となり、今も被災地の人々の生活に暗い影を落としています。そのような状況下にあって、被災地の復興のために必要だと思う支援や施策では、約7割が「雇用の創出・確保」と回答し、「原発事故の収束」、「放射性物質の除染」等、原発関連への支援や施策と並んで、生活の基盤を築くために不可欠な雇用についての対策が強く求められています。

 具体的な雇用対策では、「一般成人の雇用の確保」や、一時的ではなく「長期間安定的に働ける雇用(正規雇用)の確保」が望まれており、今後これらの対策が重要となってくるものと思われます。

 このほか、これからの被災地の復興や被災者支援のためのボランティア活動では、がれきの撤去や清掃のほか、医療や福祉関連のサポートが期待されていることもわかりました。

 連合は、調査結果を参考にしつつ、被災地の人々を含む日本のすべての働く人たちが安心して働き、生活を送ることのできる、「働くことを軸とする安心社会」の実現をめざし、今後も取り組みを進めてまいります。

◆調査概要◆ 

◆調査タイトル:東日本大震災・被災3県(岩手県、宮城県、福島県)の意識調査

◆調査対象:ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする

東日本大震災前に、有職者(パート・アルバイト含む)で

岩手県・宮城県・福島県に居住していた20歳~69歳の男女

◆調査期間:2011年10月12日~2011年10月17日

◆調査方法:インターネット調査

◆調査地域:全国

◆有効回答数:3,000サンプル(有効回答母数から3,000サンプルを抽出)

◆実施機関:ネットエイジア株式会社

(担当:渡邊)

■■本調査に関するお問合せ窓口■■

連合(日本労働組合総連合会) 総合企画局  担当:扇谷、加藤
TEL : 03-5295-0510(総合企画局)
Eメール : jtuc-kikaku@sv.rengo-net.or.jp  (総合企画局)
受付時間 :10時00分~17時30分(月~金)

■■連合(日本労働組合総連合会) 概要■■

組織名 :連合(日本労働組合総連合会)
代表者名 :会長 古賀 伸明
発足 :1989年11月
所在地 :東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館内 3F-8F
業務内容 :すべての働く人たちのために、希望と安心の社会をつくる

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