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株式会社MM総研 企業の情報投資行動が大きく変化 「クラウド」利用を最優先 ―国内クラウドサービス市場、需要動向調査まとまる―

MM総研(東京都港区、所長・中島 洋)は8月28日、国内クラウドサービスの市場規模・予測と需要動向に関する調査をまとめ、発表した。その結果、情報投資全般が伸び悩む中でも国内クラウド市場は急成長しつつあり、2017年度には市場規模が2兆円に達する見通しとなるなど、企業の情報投資がクラウドを最優先に進展しつつあることが明らかになった。また、クラウド採用の基準が「低コストの魅力」から「セキュリティレベルの高さ」へと転換し、情報漏えいやサイバー攻撃、ウィルス感染などの脅威に対して企業が警戒を強めていることも新しい傾向となっている。この調査は2段階で実施し、予備調査において4,599法人にアンケート回答を求め、その中から実際にクラウドサービスを導入済、あるいは検討している1,562法人を対象に本調査を実施した。

 ICT投資総額が伸び悩む中、クラウドサービスの需要は急拡大を続ける
■ 国内クラウド市場は2015年度に1兆円、2017年度に2兆円に達する見通し
■ システム構築の際にクラウドを優先的に検討する「クラウドファースト」企業が7割に
■ クラウドの選択基準~~「コスト」より「セキュリティ」重視へと転換

 

■ 法人ユーザー約1,500社を調査

調査結果からは、国内のICT 総需要が伸び悩むにもかかわらず、クラウドは例外的に急拡大を続けるものと予測できる。国内の法人ユーザーによるICT 投資総額は12 年度から17 年度まで年間約25兆円で横ばいに推移する見込みである。その中で、ICT投資総額に占めるクラウドへの投資の比率「クラウド化率」は、12 年度では2.1%に過ぎないが、17 年度には8.2%に増加する。
12 年度の国内クラウドサービスの市場規模は5,102 億円と推定できる。その後の5 年間は年平均32.0%の成長を続け、15 年度には1兆2,558 億円、17 年度に2 兆411 億円に達するものと予測できる。
成長率ではパブリッククラウドの伸びが最も高いが、金額ベースではプライベートクラウドが市場規模全体の7割を占めるものと予想する。
クラウドサービスの急成長の背景には、国内の法人ユーザーの意識の変化がある。新規システム導入時にクラウドの活用を優先的に検討する法人ユーザーは、7割に達するという調査結果が得られた。米国などのクラウドの普及が先行している国と同じく、日本においても「クラウドファースト」が浸透してきている傾向が顕著である。一方でクラウドサービスが急拡大することに対して、従来の自社でのシステム運用(オンプレミス)は縮小してゆく
ものと予想される。同時に、国内事業者と海外事業者の競争が激化している競争状況も明らかになった。

<添付参照 図1:新規システムの構築方法>

■ ICT投資総額が伸び悩む中、クラウドサービスへの需要は急拡大を続ける
MM総研では、国内の企業におけるICT 投資額全体に占めるクラウドサービス市場全体の比率を「クラウド化率」と定義し、ユーザー調査(n=1,562)をもとに算出した。その結果によると、12 年度のクラウド化率は2.1%であったが、17 年度には8.2%に増加すると予測する。国内のICT 総需要が12 年度から17 年度まで約25 兆円でほぼ横ばいに推移する中で、クラウドサービスは例外的に急成長すると推測できる。今後、パブリッククラウドおよびプライベートクラウドがICT 市場の大きな成長分野になると考えられる。

■国内クラウド市場は2015年度に1兆円、2017年度に2兆円に達する見通し

ユーザー調査(n=1,562)をもとにクラウドサービスの市場規模を算出した。その結果、12 年度におけるクラウド
サービス市場全体は5,102 億円となった。17 年度までの年平均成長率は32.0%と急速な成長を続け、15 年度に
は1 兆2,558 億円、17 年度に2 兆411 億円に達すると予測する。
クラウドのサービス分野ごとの市場規模も算出した。米国アマゾン社が提供する「AWS」やNTT コミュニケーシ
ョンズ社が提供する「Cloudn」などのサービスは、パブリッククラウドと呼ばれているが、このサービス分野の成長
率が最も高く、12~17 年度は年平均41.9%で拡大し、17 年度には2,728 億円へ拡大すると予測できる。大手コンピュータメーカー等が推進するプライベートクラウドは、パブリッククラウドほどの成長率は予測できないが、金額ベースでクラウド市場の約7 割を占め市場全体を牽引し、17 年度には1 兆4,918 億円まで成長すると予測できる。
なお、今回の市場規模の算出にあたっては、算出の根拠を明確化した。具体的には、市場規模算出に用いた計算式を定義した。これにより第三者による検証が可能となっている。

<添付参照 図2:クラウド市場規模・予測>

■ 「クラウドファースト」が浸透、新規システム構築時に約7割の法人がクラウドを優先
国内法人ユーザー(n=4,599)へのアンケート調査結果によると、新規システム構築の際に「原則的にクラウド
サービスを利用する」と回答したユーザーは、パブリッククラウドとプライベートクラウドを合わせて35.0%。クラウドを検討するユーザーを含めた69.1%がクラウド活用を優先検討しており、国内で「クラウドファースト」が浸透して
いることが鮮明になった。
また、パブリッククラウドを利用・検討しているユーザー(n=752)に移行パスを聞いたところ、「オンプレミスから」が49.4%と最も多く、パブリッククラウド利用における約5 割が自社運用システムからの移行であることが明らかになった。

<添付参照 図3:パブリッククラウドへの移行パス>

■ クラウドサービスの選定ポイントは「セキュリティへの対応力」、価格ありきから脱却
パブリッククラウドの導入検討を行っているユーザー(n=203)に導入目的を尋ねると、「既存システムの運用コス
トを下げるため」(38.9%)、「システム運用負担を軽減するため」、「安価に新規システムを構築するため」とコストを意識した回答が上位を占めた。一方、クラウドサービスの選定時にどのような点を重視しているかを尋ねたところ、「セキュリティへの対応力の高さ」、「運用コストの安さ」、「導入コストの安さ」などと、必ずしも運用・導入コストだけではなく、セキュリティ面を重視して検討していることがわかった。
プライベートクラウドを検討しているユーザー(n=246)のサービス導入時の重視ポイントは、「セキュリティへの
対応力の高さ」(41.9%)、「ネットワークの安定性」、「導入コストの安さ」と続き、パブリッククラウドと同様にコスト以上にセキュリティを重視する傾向が見られた。

<添付参照 図4:クラウド導入時の重視ポイントTop5比較>

■ ユーザーが利用・検討するパブリッククラウドの事業者はAmazon、Google、NTTコムの順
今回のアンケート結果では、ユーザー(n=752)が利用・検討しているパブリッククラウドの事業者は「Amazon」(19.1%)が最も多く、「Google」、「NTTコミュニケーションズ」、「Microsoft」、「富士通」と続いた。プライベートクラウド(n=1,147)では「NTTコミュニケーションズ」(13.0%)が最も多く、「富士通」、「Amazon」、「NTTデータ」、「Microsoft」と続き、国内事業者と海外事業者の競争が激化している状況が浮き彫りになっている。

同調査の概要は下記のURLで公開しています。
http://www.m2ri.jp/newsreleases/main.php?id=010120130828500

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<調査概要>
1.調査対象  :国内法人ユーザー※
2.回答件数  :予備調査(n=4,599)、本調査(n=1,562)
※情報システムやネットワークの管理・運用担当者または、決裁や選定に関与する立場
※本調査はクラウドサービスの利用・検討者を対象
3.調査方法 :Webアンケート
4. 調査期間 :2013年6月28日~7月5日

調査の詳細な分析を加えたレポート「国内クラウドサービス需要動向」を8月下旬に発刊予定
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<クラウドサービスの対象市場と分類>
対象市場:国内法人ユーザーが利用するクラウドサービスを対象としている。クラウドの提供場所を問わない。
分類:国内クラウド市場を以下のセグメントに分けて定義した。
・SaaS・・・Software as a Service
・パブリッククラウド(IaaS/PaaS)・・・Infrastructure as a Service/Platform as a Service
・プライベートクラウド
SaaSおよびパブリッククラウドは共用型サービスを前提とし、プライベートクラウドは専用型サービス(コミュニティクラウド含む)もしくは企業内システム構築におけるクラウド利用を含むものとした。
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