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男女平等月間実態調査 『連合調べ』

 連合(日本労働組合総連合会)(http://www.jtuc-rengo.or.jp)(所在地:東京都千代田区、会長:古賀 伸明)は、女性が働き続けられる環境づくりに取り組んでいます。女性が働き続けられるためには、職場や社会での様々な支援が必要です。しかし、現実には、女性労働者の多くが働き続けたくても働き続けることができない状況にあります。このような状況を改善するためには何が必要か、6月の「男女平等月間」に合わせ、本調査を実施しました。
 本調査は、モバイルリサーチ(携帯電話によるインターネットリサーチ)により、2011年4月28日~5月9日の12日間において実施し、1000名(調査対象者:学校卒業後に働いた経験がある18歳~59歳の男女)の有効サンプルを集計しました。

◆働き続けるために必要な支援・環境 「やりがい」64.4%
「子育てと仕事の両立支援制度を利用しやすい雰囲気」女性30代の3割強

 学校卒業後に働いた経験がある18~59歳の男女(女性500名、男性500名、計1000名)に、働き続けるためには、どのような支援・環境が必要だと思うか聞いたところ、「必要とされている、期待されているなど、仕事にやりがいが感じられる」64.4%が最も高く、次いで「休暇を取りやすい」36.7%、「自分の能力や技術を高められる」34.6%が続きました。
 男女別に見ると、女性では「必要とされている、期待されているなど、仕事にやりがいが感じられる」、「自分の能力や技術を高められる」が男性より低くなりました。一方、「配偶者の協力」、「育児休業など、子育てとの両立支援制度を利用しやすい雰囲気がある」、「育児休業など、子育てと仕事の両立を支援する制度がある」が男性より高くなりました。特に30代女性では、子育てと仕事の両立支援についての要望が高くありました。

◆仕事をやめたきっかけ 「職場の人間関係」27.3%
「結婚」女性32.3%、男性2.2%

 全回答者(1000名)に、仕事をやめるきっかけとなったものを聞き、「これまで仕事をやめたことはない」と回答した319名を除いた681名の回答を集計したところ、全体では「職場の人間関係」が27.3%と最多でした。女性では「結婚」32.3%が最も高くなっており、「自身または配偶者の妊娠」14.4%、「自身または配偶者の出産」10.5%を上回りました。

◆職場での不利益な取り扱い 産休や育児で1割前後

 全回答者(1000名)に、職場において不利益な取り扱いを受けたことがあるかを聞いたところ、全体では、『不利益な取り扱いを受けた(計)』(「自身が不利益な取り扱いを受けた」割合と「同じ職場の人が不利益な取り扱いを受けた」割合の合計)を見ると、「育児中であること」10.6%、「育児休業を取得すること」10.3%、「産休を取得すること」9.5%となっており、産休や育児に関して1割前後が、男女雇用機会均等法・育児介護休業法に抵触し、不利益な取り扱いを受けたことがあるという結果となりました。

◆「セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)を受けたことがある」女性16.8%、男性3.6%
◆「パワー・ハラスメント(パワハラ)を受けたことがある」女性18.8%、男性24.4%

 次に、セクハラ、パワハラを受けたことがあるか聞いたところ、全体では、「セクハラを受けたことがある」が10.2%、「パワハラを受けたことがある」が21.6%となりました。
 男女別に見ると、女性では、「セクハラを受けたことがある」16.8%、「パワハラを受けたことがある」18.8%となりました。男性では、「セクハラを受けたことがある」3.6%に対して、「パワハラを受けたことがある」は24.4%と約4分の1の人がパワハラを受けたと回答しています。

◆「誰にも相談しなかった」セクハラ30.4%、パワハラ36.6%
◆「その職場を退職した」セクハラ21.6%、パワハラ22.7%

 また、セクハラを受けたことがある102名、パワハラを受けたことがある216名に、その時どうしたか聞いたところ、どちらも「誰にも相談しなかった」が最も高い結果となりました。

◆採用の際、履歴書や面接で「本籍地、家族に関することを聞いてはいけないこと」

 知っている34.0%、知らない66.0%
 同じく全回答者(1,000名)に採用の際、履歴書や面接で「本籍地、家族に関することを聞いてはいけないこと」を知っているか聞いたところ、6割以上(66.0%)が「知らない」と回答しました。労働基準法の周知が労使ともに不足していることがうかがえます。

◆パート労働者の「雇い入れ通知書」もらった49.9%

 また、パートとして働いた経験のある467名に、最初にパートとして雇われる際に、勤め先から賃金、労働時間など労働条件を記載した「雇い入れ通知書」などの文書をもらったか聞いたところ、「文書をもらった」は49.9%と約半数にとどまりました。

◆パートと正社員、「定期昇給」「ボーナス」「退職金」などで格差

 パートとして働いた経験のある467名に、手当や各種制度がパート労働者も対象となっているか(いたか)聞いたところ、『対象(計)』(「正社員と同様の扱いで対象」と「正社員と異なる扱いで対象」の合計)が高い項目を見ると、最も高いのは「更衣室の利用」で66.0%、次いで「通勤手当」65.1%が続きました。
 一方、正社員と同様の扱いかどうかについて、賃金に関わるものを見ると、「定期的な昇給」8.4%、「ボーナス」4.9%、「退職金」3.0%で、「正社員と同様の扱いで対象」となるという回答が少なくなっています。
 さらに、「正社員と同様の扱いで対象」となるという回答を男女別に見ると、「定期的な昇給」で女性6.2%、男性12.4%、「ボーナス」で女性3.6%、男性7.5%、「退職金」で女性1.6%、男性5.6%と、いずれも女性が男性よりも低くなりました。

◆「今後、子どもが生まれたとき、自身が育児休業を利用したい」男性の1割

 全回答者(1000名)に育児休業の利用について聞いたところ、女性では「育児休業を利用したことがある」7.8%、「今後、子どもが生まれたとき、あなた自身が育児休業を利用したい」19.2%と、自身の利用経験、利用意向ともに男性より高い結果となりました。一方、男性では「今後、子どもが生まれたとき、配偶者に育児休業を利用してほしい」14.9%が「今後、子どもが生まれたとき、あなた自身が育児休業を利用したい」9.8%よりも上回りました。

◆「今後、家族が要介護状態になったら、自身が介護休業を利用したい」2割強

 同じく全回答者(1000名)に介護休業の利用について聞いたところ、「今後、家族が要介護状態になったら、あなた自身が介護休業を利用したい」と回答した女性が26.2%、男性が18.0%と、男女で8.2ポイント差がありました。
 男性については、「今後、家族が要介護状態になったら、あなた自身が介護休業を利用したい」が18.0%で、前問の「今後、子どもが生まれたとき、あなた自身が育児休業を利用したい」9.8%に比べると、介護休業の利用意欲は約2倍という結果となりました。

◆男女ともに様々なライフスタイルを自由に選択できる社会の実現に重要なこと
「働きがいのある人間らしい仕事への就業機会を確保する」29.9%
「性別や雇用形態に関わらない、公正な処遇や教育訓練を確保する」26.6%

 最後に、全回答者(1000名)に、男女ともに様々なライフスタイルを自由に選択できる社会を実現するには、何が重要だと思うか聞いたところ、全体では、「働きがいのある人間らしい仕事への就業機会を確保する」29.9%が最も高く、次いで「性別や雇用形態に関わらない、公正な処遇や教育訓練を確保する」26.6%、「残業を少なくするなど、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現する」25.6%と続きました。
 男女別に見ると、女性では「性別や雇用形態に関わらない、公正な処遇や教育訓練を確保する」30.6%(男性22.6%)、「病児・夜間などを含め、保育サービスを利用しやすくする」28.8%(男性18.6%)、「『夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである』というような固定的性別役割分担意識を解消する意識啓発を図る」21.0%(男性11.6%)で男性より高くなりました。

<まとめ>

 働き続けるために必要な支援として、結婚、妊娠・出産の時期にあたるであろう30代女性からは、子育てと仕事の両立支援への要望が高くありました。一方、全体としては、「必要とされている、期待されているなど、仕事にやりがいが感じられる」(64.4%)という回答が男女とも最多で、「休暇をとりやすい」(36.7%)を上回りました。

 女性が仕事をやめた理由として、「結婚」(32.3%)が最多で、「妊娠」(14.4%)、「出産」(10.5%)を上回っていますが、働き続けるためには、どのような支援・環境が必要だと思うかとの質問では、「結婚や子育てのため、夫婦のいずれかは家庭に入るものと考えている(いた)ので、どんな支援・環境があっても自分は仕事をやめる(やめた)と思う」と回答した女性が1.6%となっています。
 責任ある仕事を与えられない等、仕事にやりがいを感じられない女性は、結婚後に予想される仕事と家庭の両立の困難さ考えた時に、結婚をきっかけに退職してしまう傾向がうかがえます。責任ある仕事への配置転換や教育訓練機会を増やすなど、女性が仕事にやりがいを感じられる環境整備が必要です。

 働き続けるために必要な支援として「上司や同僚とのコミュニケーションがとりやすい職場の雰囲気」(23.3%)が上位に挙げられました。一方、仕事をやめる理由として、「職場の人間関係」(27.3%)が最も多く回答されました。また、「パワハラを受けたことがある」人のうち、労働組合へ相談した人は5%以下にとどまり、3割以上は「誰にも相談しなかった」と回答しています。男女がともに働き続けるためには、重要な職場環境として良好な「職場の人間関係」が求められ、実現に向けて労働組合の役割・機能の発揮が重要です。

 パート労働者について、契約時に、労働条件を記載した「雇い入れ通知書」などの「文書をもらった」は49.9%と約半数にすぎず、パートタイム労働法に違反している事業主が多いことが明らかになりました。加えて、賃金に関わる労働条件について、正社員と同様の扱いかどうかを見ると、「定期的な昇給」8.4%、「ボーナス」4.9%、「退職金」3.0%と、「正社員と同様の扱いで対象」という回答が少なくなっています。パートタイム労働法が職場に定着しているのか、あらためて点検が必要です。また、「正社員と同様の扱いで対象」となるという回答を男女別に見ると、「定期的な昇給」で女性6.2%、男性12.4%、「ボーナス」で女性3.6%、男性7.5%、「退職金」で女性1.6%、男性5.6%と、いずれも女性が男性よりも低くなっています。パートタイム労働法の周知・定着と、法が示す均等・均衡処遇の促進が必要です。

 男女ともに様々なライフスタイルを自由に選択できる社会を実現するために重要なこととして、「働きがいのある人間らしい仕事への就業機会を確保する」(29.9%)、「性別や雇用形態に関わらない、公正な処遇や教育訓練を確保する」(26.6%)が「残業を少なくするなど、ワーク・ライフ・バランス(仕事と生活の調和)を実現する」(25.6%)を上回りました。連合は、今後も、すべての働く人たちのために、ディーセントワーク(人間らしい働きがいのある仕事)の実現を通じて、希望と安心の社会づくりに取り組んでいきます。

◆調査概要◆

◆調査タイトル:男女平等月間実態調査
◆調査対象:ネットエイジアリサーチのモバイルモニター会員を母集団とする学校卒業後に働いた経験のある18歳~59歳の男女
◆調査期間:2011年04月28日~2011年05月09日
◆調査方法:インターネット調査
◆調査地域:全国
◆有効回答数:1,000サンプル(有効回答母数から1,000サンプルを抽出)
◆実施機関:ネットエイジア株式会社
 (担当:吉田)

≪本件に関する報道関係者のお問い合わせ先≫

■ 連合(日本労働組合総連合会)
■ 総合男女平等局  担当:新沼、片山、花井
  総合企画局    担当:ヤロシュ
■ TEL:03-5295-0515(総合男女平等局)
  03-5295-0510(総合企画局)
■ E-mail:jtuc-josei@sv.rengo-net.or.jp(総合男女平等局)
  jtuc-kikaku@sv.rengo-net.or.jp(総合企画局)
■ 調査協力会社:ネットエイジア株式会社

会社概要
■組織名 :連合(日本労働組合総連合会)
■代表者名 :会長 古賀 伸明
■発足 :1989年11月
■所在地 :東京都千代田区神田駿河台3-2-11総評会館内 3F-8F
■業務内容 :すべての働く人たちのために、希望と安心の社会をつくる
■ホームページ :http://www.jtuc-rengo.or.jp

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